はじめてのxxx。
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檸檬以上 蜂蜜未満で 林檎以下


ジャンル:恋愛
主催者を泣かせた賞作品

作:水沢 莉
lemon

あらすじ
「夢とか目標とかこれと言ってないし、何をしたらいいのかもよく分からないけ れど、
そのうち変われるかもっていう希望みたいなのは持っていたい。」
高校卒業と同時に上京した由佳は、一つ年上で幼なじみの敦司の部屋に居候。
不安材料を抱えながらの初めての生活、バイト、恋…待っていたのはなかなかハ ードな日々でした。

 

はじめて
初上京生活、初恋、初バイト、初キス 等

作者より作品についてひとこと
無気力気味な女の子の心の成長を軸にしています。
恋愛が中心になると思いますが、さまざまな初めての経験を織り交ぜながら物語 を進行させていきたいと思っています。

 

主催者より紹介&レビュー(批評あり)

知らない男とホテルに入ってしまうという刺激的な冒頭から引き込まれ……と書くと誤解を招くでしょうね(笑)。
たしかにそういう始まりではあるのですが、
なんとなく東京に出てきて、兄のようなスタンスの男の子と同居している女の子の、慣れない日常は淡々と進んでいきます。
1つ1つのシーンで長回しの映画を見ているような、そんな感じのリアリティが魅力的でした。
私はこういうリアル系の話はわりと好きで、かなりの速度で読んだのですが、それぞれのシーンが確かに頭に映像化されました。
お父さんのところに一時帰宅して、りんごをかじるラストではなぜかわけもなく涙があふれました。
あの涙の意味は自分でもわからなくて、今も必死で考えています(笑)。
でもとても好きなラストであることにはかわりありません。

文章も読みやすく、ケータイで読みやすくレイアウトされていたのは大変ありがたかったです。
表現も感情と情景のバランスが絶妙。
歌舞伎町から、青空の東京タワー、夜景まで東京の情景が色鮮やかに頭の中で映像化されやすかったのはそんな技術ゆえなのかな、と思いました。
ちょっと造語「もんやり」が多かったかなあ(笑)
また、人物については脇役の描写がいいと思います。
特にお弁当やのヨーコさん、その娘の美月ちゃん、ちょっとしかでてこなかったけれどお父さん、みんな血が通っていました。
ちょっとした仕草で、性格とか表情が浮かんでくる。
なんとなく両手に花状態(笑)の、主人公に好意を持つ二人の男、敦司とカズくん(川の字のシーン好きです)も、
主人公に都合がいい展開ではありますが、ちゃんとその行動・動作にはリアリティがある。
同居している敦司がコクッて、キスして、というくだりもとても自然だと思います。
特にそんなことがあったあとも、相手の意思を尊重するべく、できるだけ自然&大人でいようと背伸びしているようなところは「あるある」と思いました。そして急に変わらなかった関係に二人の今後が暗示されていると思ったのは私だけでしょうか。

ただ、男にレイプされかけたゆえにトラウマがある、という主人公の設定はいらないかも、と思いました。
歩けなくなるほどのトラウマを背負わせなくても、男の人がちょっと苦手で、でも将来も含めてなんとか自分を変えなくては、と思っている普通の女の子、
程度で物語は成立できると思います。
それと、年頃の娘を、年頃の息子の家に同居、は短期にしても、なんらかの意図(双方の親で、二人が好きなら将来結婚させよう、と決めている)がない限り、普通の親はさせないと思うんですよね。
せっかく描写やストーリーがリアルなのだから、そういうご都合設定は極力排除するか、読者に納得いくよう説明したほうが、さらに感動を呼ぶことができるのでは、と思いました。そこが、もったいなかったです。

最後に、大変味わい深いお話だったと思います。
また何度も読み返したいです。



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